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育成就労制度とは|2027年4月開始・技能実習との違いと転籍の条件

育成就労制度とは|2027年4月開始・技能実習との違いと転籍の条件

育成就労制度が始まる日、技能実習との違い、対象の17分野、転籍の条件、日本語の要件と費用の負担、受け入れの手順、今いる技能実習生の扱いまで、公的資料をもとにわかりやすく解説します。

技能実習(技能を母国へ伝える目的の受け入れ制度)は、2027年4月1日に育成就労制度へ変わります。知らずに進めると申請ができず、予定した人が来ません。転籍(働く会社を変えること)のルールも変わり、育てた人が3年を待たずに去ることもあります。

押さえることは3つです。

  • 開始は2027年4月1日で技能実習計画の新規申請は終了(実習中の人は継続可)
  • 1〜2年働けば本人の希望で転籍できる
  • 日本語はA1(あいさつなど基本的なやりとりができる段階)で入国し3年でA2.2(日常の簡単な会話ができる段階)が目標

この3つを押さえれば、申請の遅れと、転籍による急な欠員の両方を防げます。この記事では、制度の中身から受け入れの手順、今いる技能実習生の扱いまでを説明します。

この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。分野ごとの細かい基準は告示や運用要領で順次公表されているため、申請の前に最新の内容を確かめてください。

ここがポイント

育成就労制度は、人手不足の分野で3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度です。開始は2027年4月1日で、対象は17分野です。技能実習と違い、1〜2年働けば本人の希望で転籍できます。受け入れには監理支援機関(受け入れを支え、会社を監督する許可制の団体)の関与と育成就労計画の認定が必要で、施行日前申請は、原則として開始予定日の7〜5か月前に行います(施行日以後の申請は、申請から6か月以内に開始するものに限られます)。

育成就労制度とは|技能実習に代わり2027年4月1日に開始

育成就労制度は、人手不足の分野で外国人を3年かけて育て、長く働いてもらうための新しい制度です。2024年6月21日に改正法が公布され、2027年4月1日から運用が始まります。技能実習制度は、この日以降、技能実習計画の新しい認定申請ができなくなります。

育成就労 制度の図解
育成就労 制度の図解

目的1:3年で特定技能1号の水準まで育てる

育成就労の期間は原則3年以内です。その間に、特定技能1号(人手不足の分野で即戦力として働ける在留資格)に必要な技能と日本語を身につけてもらいます。育成後に試験に合格すれば、特定技能1号として通算5年、2号に進めば上限なく働けます。

目的2:人材の育成と確保を正面から目的にする

技能実習は「技能を母国へ持ち帰る国際貢献」が目的で、人手不足を補う制度ではありませんでした。育成就労制度は、人材の育成と人材の確保を目的として明記しています。受け入れる会社は「育成就労実施者」と呼ばれます。

項目育成就労特定技能1号特定技能2号
期間原則3年以内通算5年まで上限なし
位置づけ育てる段階即戦力として働く熟練した人材
日本語の目安開始前にA1相当A2.2相当(N4など)B1相当(N3など)
受け入れ分野17分野19分野19分野のうち11分野

育成就労制度と技能実習の違い|目的・転籍・監理の3点が変わる

同じ「3年間の受け入れ」に見えますが、中身は大きく違います。会社への影響が大きいのは、目的・転籍・監理の3点です。

比べる点技能実習育成就労
目的技能移転による国際貢献人手不足分野の人材育成と確保
本人の希望による転籍原則できない1〜2年働けば一定の条件で可能
受け入れを支える団体監理団体監理支援機関(新たに許可が必要)
対象の分野技能実習の職種・作業特定技能と原則同じ17分野
計画の認定と検査外国人技能実習機構外国人育成就労機構

違い1:転籍が本人の希望でも認められる

技能実習では、暴力などやむを得ない事情がない限り、会社を変えることはできませんでした。育成就労制度では、やむを得ない場合に加えて、一定の条件を満たせば本人の希望で転籍できます。条件の中身は後の章で説明します。

違い2:監理団体はそのまま監理支援機関になれない

監理団体(受け入れを仲介し、会社を監督する団体)は、新たに監理支援機関の許可を受けなければ育成就労に関われません。許可の申請は2026年4月15日から受け付けられています。今の監理団体が申請しているか、早めに確かめてください。

違い3:送出機関に払う費用に上限ができた

外国人が母国の送出機関(人を送り出す側の団体)に払う費用は、日本での月給2か月分までと決められました。これを超える費用は、受け入れる会社か監理支援機関が負担します。

さらに、原則として日本と二国間取決め(送り出しのルールを定めた政府間の約束)を結んだ国からしか受け入れられません。相手国によっては、送出国の公的機関が作る推薦状も必要です。

育成就労制度の対象分野|17分野で受入れ上限は42万6,200人

対象となる分野は「育成就労産業分野」と呼ばれ、2026年7月時点で17分野です。特定技能の19分野から、自動車運送業と航空を除いたものと一致します。分野ごとに、受け入れの上限となる人数も決まっています。

所管する省庁分野転籍制限期間
厚生労働省介護2年
厚生労働省ビルクリーニング、リネンサプライ1年
経済産業省工業製品製造業2年
国土交通省建設、造船・舶用工業、自動車整備2年
国土交通省宿泊、鉄道、物流倉庫1年
農林水産省飲食料品製造業、外食業2年
農林水産省農業、漁業、林業、木材産業1年
環境省資源循環2年

上限1:2028年度末までに特定技能と合わせて約123万人

国は、2028年度末(令和10年度末)までの受入れ見込数を、特定技能1号と育成就労を合わせて約123万人としています。内訳は特定技能1号が80万5,700人、育成就労が42万6,200人です。

この人数は分野ごとの上限として運用されます。受入れの上限を超えそうな分野では、育成就労計画の認定(受け入れに必要な国の認定)が一時的に止まることがあります(特定技能1号では、在留資格認定証明書の交付が止まります)。

上限2:派遣で受け入れられるのは農業と漁業だけ

労働者派遣の形で育成就労外国人を受け入れられるのは、農業分野と漁業分野に限られます。季節で忙しさが変わる仕事に合わせ、閑散期に一時帰国する計画も認められています。他の分野は、自社で直接雇う形だけです。

建設も対象分野ですが、転籍制限期間は2年で、分野独自の上乗せ基準もあります。なお、有料の職業紹介は建設業務が対象外です。建設の受け入れは、監理支援機関を通じた手続きで進めます。

育成就労制度の転籍|1〜2年働けば本人の希望で移れる

会社にとって一番の心配は、育てた人が途中でいなくなることです。ただし転籍は自由ではなく、本人と受け入れ先の両方に条件があります。条件を知っておけば、先の見通しを立てられます。

条件1:分野ごとに決まった期間を同じ会社で働いている

本人の希望で転籍するには、今の会社で1年から2年働いていることが必要です。期間は分野ごとに決まり、介護・建設・工業製品製造業・飲食料品製造業・外食業などは2年です。

2年のまま運用する会社は、待遇を上げる措置を取る必要があります。会社の判断で、期間を1年に短くすることもできます。

条件2:技能と日本語の試験に合格している

転籍を希望する方は、分野ごとに定められた技能と日本語の試験に合格している必要があります。技能は育成就労1年経過時と同じ水準、日本語は多くの分野でA2.1相当以上です。試験に通っていない方は、期間を過ぎても本人の希望では転籍できません。

条件3:受け入れ先にも優良であることなどの条件がある

転籍先は、試験の合格率や法令の守り方から優良な育成就労実施者と認められている必要があります。転籍で来た人が受け入れ人数の3分の1を超えてもいけません。転籍先は、転籍元がかけた初期費用の一部を国の定める基準で支払います。

注意

本人の希望による転籍は、同じ業務区分(分野の中で区切られた仕事の範囲)の中に限られます。転籍の手続きで民間の職業紹介事業者を使うことは認められていません。相談先は監理支援機関、外国人育成就労機構、ハローワークです。

育成就労制度の日本語要件と費用|A1で入国・3年でA2.2

日本語の要件は、技能実習になかった新しい負担です。ただし、試験に合格しないと入国できないわけではありません。講習で代えられる仕組みがあります。

就労開始前:A1相当の試験か100時間以上の講習

就労を始める前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5など)に合格している必要があります。合格していない場合は、認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受けます。一部は母国でも受けられます。

1年目と3年目:A1の受験とA2.2の合格が目標

育成就労の開始から1年以内に、A1相当の試験を受けることが求められます。3年間の目標は、A2.2相当(日本語能力試験N4など)の試験に合格することです。会社は、A2相当の講習を100時間以上受けられる機会を用意する義務があります。

費用:日本語講習と送出費用の超過分は会社側の負担

日本語講習の費用は、受け入れる会社か監理支援機関が負担します。送出機関に払う費用のうち月給2か月分を超える部分も、会社側の負担です。このほか監理支援機関に払う費用や認定手数料がかかり、金額は契約先によって異なります。

時点求められる日本語会社側の負担
就労開始前A1相当の試験合格、または100時間以上の講習講習費
開始から1年以内A1相当の試験を受験受験の機会
3年間の目標A2.2相当の試験に合格A2講習100時間以上の機会と費用

育成就労制度で受け入れる手順|施行日前申請は開始の7〜5か月前

受け入れの流れは技能実習と似ていますが、申請の時期と相手先が変わります。2027年4月1日からの受け入れを目指すなら、今から動く必要があります。

  1. 分野と業務区分を確認する。自社の仕事が17分野のどの業務区分に当たるかを、分野別運用方針で確かめます。
  2. 監理支援機関を選ぶ。許可の申請を済ませているかを確認します。監理型(監理支援機関を通して受け入れる形)では、監理支援機関が許可を申請済みであることが計画認定の前提です。
  3. 分野別協議会に加入する。受け入れる会社は、分野ごとの協議会への加入が義務です。工業製品製造業は登録法人への入会に代わります。
  4. 二国間取決めのある国から人を決める。送出国の公的機関が作る推薦状の提出が必要な国もあります。
  5. 育成就労計画を作り、認定を申請する。施行日前申請は、原則として開始予定日の7か月前から5か月前までに、申請者(法人は本店)の住所地を担当する外国人技能実習機構(施行後は外国人育成就労機構)の地方事務所・支所へ行います。施行後の申請は、申請から6か月以内に始める計画に限られます。
  6. 認定後に在留資格認定証明書を申請する。施行日前の申請分は、審査結果が2027年4月1日以降に順次通知されます。
  7. 入国後の講習を行い、就労を始める。日本語の講習と生活の案内を済ませてから、仕事に入ってもらいます。

施行日前申請:2026年9月1日から受付中

制度が始まる前でも、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から受け付けられています。例えば2027年6月1日に開始する場合、申請は2026年11月1日から2027年1月1日までの間です。

申請の窓口と最新の案内は、出入国在留管理庁の施行日前申請のページにまとまっています。外国人技能実習機構の育成就労制度のページにも様式と案内があります。分野ごとの審査基準は順次公表されるため、申請の直前にも確かめてください。

育成就労制度の注意点|よくある失敗は3つ

失敗1:技能実習の申請期限を逃して空白期間ができる

2027年4月1日以降は、技能実習計画の新しい認定申請ができません。施行日より前に申請した計画は、施行後に認定されることもあります。ただし実習の開始は2027年6月30日以前で、原則その日までの入国が必要です。

外国人技能実習機構は、1号の認定申請を2027年2月までに行うよう案内しています。切り替えの時期に合わせて、採用を前倒しするか、育成就労で受け入れるかを決めます。

失敗2:今いる技能実習生を育成就労に切り替えられると思い込む

施行日時点で技能実習中の方は、そのまま技能実習を続けます。ただし、技能実習から育成就労へ在留資格を変えることはできません。3号へ進めるのは、施行日時点で2号を1年以上行っている方に限られます。

経過措置の詳しい図は、厚生労働省の経過措置の資料で確認できます。2号までで終わる方は、特定技能1号への移行を早めに検討します。

失敗3:監理団体の許可の状況を確かめずに待つ

監理団体が監理支援機関の許可を受けられなければ、育成就労計画は認定されません。施行日から事業を行いたい監理団体には、2026年9月30日までの申請が求められていました。申請の有無と進み具合を確かめ、難しければ他の監理支援機関も探します。

注意

分野によっては、審査基準や協議会の加入手続きがまだ公表されていない、または準備中の場合があります。申請の前に、分野を所管する省庁と外国人技能実習機構のページで最新の公表状況を確かめてください。

よくある質問

技能実習生として来ている方は、2027年4月以降どうなりますか

施行日時点で技能実習中であれば、認定された計画のとおり技能実習を続けられます。1号から2号への移行も施行後にできます。ただし育成就労への在留資格の変更はできず、3号へ進めるのは施行日時点で2号を1年以上行っている方だけです。

育成就労を終えた後も同じ会社で働いてもらえますか

育成就労を終え、技能と日本語の試験に合格すれば、特定技能1号として同じ会社で働き続けられます。特定技能1号は通算5年までで、特定技能2号に進めば期間の上限はありません。試験に不合格でも、再受験のために最長1年の在留継続が認められます。

海外の子会社の社員を受け入れる場合も監理支援機関が要りますか

海外の支店や子会社の社員を3年かけて育てる目的なら、監理支援機関を通さない「単独型育成就労」が使えます。短期の研修目的なら、新設の在留資格「企業内転勤2号」が想定されています。取引先の社員は単独型では受け入れられず、監理型になります。

まとめ

育成就労制度は、2027年4月1日に技能実習制度と入れ替わる新しい受け入れの仕組みです。目的は人手不足分野での人材の育成と確保で、3年かけて特定技能1号の水準まで育てます。対象は17分野で、分野ごとに受け入れの上限があります。

会社にとって大きな変化は、本人の希望による転籍と日本語の要件です。転籍は1〜2年の勤務と試験の合格が条件で、受け入れ先にも優良であることなどの条件があります。日本語はA1で始めて3年でA2.2を目指し、講習費は会社側の負担です。

今やるべきことは、監理団体の許可の確認、分野別協議会への加入、育成就労計画の準備です。施行日前申請は原則として開始予定日の7〜5か月前に行い、2026年9月1日から受付中です(施行後の申請は、申請以後6か月以内に開始するものに限られます)。今いる技能実習生の扱いは経過措置で決まるため、期限を確かめて動きましょう。

この記事のまとめ

  • 育成就労制度は2027年4月1日開始で、技能実習の新しい申請はできなくなる
  • 転籍は分野ごとに1〜2年働き、試験に合格した人が優良な会社へ移れる
  • 日本語はA1相当で始めてA2.2相当が目標、講習費は会社か監理支援機関が負担

出典・参考にした公的資料

制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。