外国人採用の進め方|在留資格の確認から届出までの6ステップと注意点

外国人採用を初めて行う会社向けに、雇える在留資格の見分け方、在留カードの確認方法、ハローワークへの届出期限、罰則、2027年4月の制度変更までを、公的資料をもとに手順で解説します。
外国人の採用では、「この人を雇ってよいか」を会社が自分で確かめる義務があります。在留資格(日本に住んで活動するための国の許可)を見ずに雇い、本人に働く許可がなければ、会社も罰せられます。「知らなかった」では済まず、在留カードを確認していない過失だけで処罰の対象です。
押さえることは3つです。
- 雇えるかは在留カードで見分ける
- 雇ったらハローワークへ届け出る
- 給料と保険は日本人と同じ扱い
この3つを押さえれば、働けない人を雇ってしまう失敗と、届出漏れによる罰金を防げます。この記事では、在留資格の見分け方、採用の手順、採用後に守る決まり、2027年4月の制度の変わり目までを順に説明します。
この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。制度は改正が続いているため、手続きの前には出典のページで最新の内容を確かめてください。
ここがポイント
外国人を採用できるかどうかは、本人の在留資格で決まります。面接で在留カードの原本を見て、表面の「就労制限の有無」、裏面の「資格外活動許可」(本来の在留資格の外でアルバイトなどをしてよいという許可)、在留期間の満了日を確認します。雇ったら、雇用保険に入る人は翌月10日まで、入らない人は翌月末日までにハローワークへ届け出ます。給料や社会保険は、日本人と同じ法律がそのまま適用されます。
外国人採用とは|雇えるかは在留資格で決まる
外国人採用とは、日本国籍を持たない方を従業員として雇うことです。日本人の採用と違うのは、在留資格の範囲内でしか働けない点です。資格ごとに「できる仕事」と「日本にいられる期間」が決まっています。

採用で外国人を雇う会社は年々増えています。厚生労働省のまとめでは、2025年10月末時点の外国人労働者は2,571,037人です。前年より268,450人(11.7%)増えました。外国人を雇う事業所も371,215か所と、届出が義務になってから最多です。
国籍の内訳:ベトナムが最多で、全体の23.6%
国籍別では、ベトナムが605,906人(23.6%)で最も多い国です。次いで中国が431,949人(16.8%)、フィリピンが260,869人(10.1%)です。どの国の方でも、採用で確かめることは同じです。
| 在留資格の区分 | 人数(2025年10月末) | 前年比 |
|---|---|---|
| 専門的・技術的分野の在留資格 | 865,588人 | 20.4%増 |
| 身分に基づく在留資格 | 645,590人 | 2.6%増 |
| 技能実習 | 499,394人 | 6.1%増 |
| 資格外活動(留学生のアルバイトなど) | 449,324人 | 12.8%増 |
| 特定活動 | 111,074人 | 29.6%増 |
専門的・技術的分野は、増えた人数が146,776人と最も多い区分です。ただし増加の半分以上は特定技能(79,230人増)で、技術者や通訳などが当てはまる「技術・人文知識・国際業務」の増加は56,807人(13.8%)です。なお、増えた割合が最も大きいのは特定活動(29.6%増)です。
外国人採用で雇える在留資格|大きく3つに分かれる
在留資格には多くの種類がありますが、採用の場面では3つの区分で考えると整理しやすくなります。「働くための資格」「身分に基づく資格」「原則働けない資格」です。
| 区分 | 主な在留資格 | 働ける範囲 | 在留期間の例 |
|---|---|---|---|
| 働くための資格 | 技術・人文知識・国際業務、特定技能、介護、技能 | 資格で認められた仕事だけ | 5年・3年・1年・3月(技術・人文知識・国際業務) |
| 身分に基づく資格 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 制限なし | 無期限(永住者)、5年・3年・1年・6月(日本人の配偶者等) |
| 原則働けない資格 | 留学、家族滞在、短期滞在 | 留学・家族滞在は資格外活動許可があれば週28時間以内 | 留学は4年3月以内、短期滞在は90日・30日・15日 |
例:事務職として雇う場合は資格と仕事の中身を合わせる
例えば、大学を卒業した方を通訳や海外営業の事務職として雇う場合は、技術・人文知識・国際業務が候補です。同じ方を工場のライン作業だけに就けることは、この資格では認められません。任せる仕事の中身と資格が合うかを、募集の前に確かめます。
特定技能と技能実習:人手不足の現場で働くための資格
特定技能は、介護・外食業・宿泊・農業・飲食料品製造業など、国が定めた分野で働く資格です。1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に決められ、2号は3年・2年・1年・6月のいずれかです。技能実習は、2027年4月1日から育成就労という新しい制度に替わります。
外国人採用の手順|確認から届出まで6ステップ
外国人の採用は、次の順番で進めると抜けを防ぎやすくなります。
- 任せる仕事を決め、合う在留資格を確かめる。仕事の中身が先で、資格はあとから合わせます。
- 募集する。業務内容・契約期間・勤務地・労働時間・賃金・保険の適用を書面で示します。
- 面接で在留カードの原本を見る。表面の「就労制限の有無」、在留期間の満了日、裏面の「資格外活動許可」欄を確認します。
- 偽造と失効を確かめる。国の「在留カード等読取アプリケーション」でICチップを読み取ります。在留カード等番号失効情報照会で番号が有効かも見ます。
- 労働条件を書面で結ぶ。母国語など本人が理解できる方法で説明するよう努めます。社会保険・労働保険の手続きは日本人と同じです。
- ハローワークへ届け出る。雇用保険に入る人は翌月10日まで、入らない人は翌月末日までです。
ステップ3の見方:表面の「就労制限の有無」欄が入口
在留カードの表面には「就労制限の有無」という欄があります。ここの記載で、雇えるかどうかの大半が決まります。
| 表面の記載 | 意味 | 会社の対応 |
|---|---|---|
| 就労制限なし | 仕事の種類に制限がない | 身分に基づく資格。どの仕事でも雇える |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | 資格で認められた仕事だけできる | 任せる仕事が資格の範囲に入るか確かめる |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 指定書に書かれた仕事だけできる | 本人が持つ指定書を確認する |
| 就労不可 | 原則として働けない | 裏面の資格外活動許可欄を見る。許可がなければ雇えない |
「就労不可」でも、裏面の資格外活動許可欄を見ます。「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」とあれば、その範囲でアルバイトとして雇えます。
ステップ3の補足:在留カードを持たない方もいる
在留期間が3月以下の方、短期滞在の方、特別永住者の方は在留カードを持ちません。特別永住者の方は特別永住者証明書を持ち、仕事の制限はなく、ハローワークへの届出も不要です。
また、2026年6月14日からは、在留カードとマイナンバーカードが一つになった特定在留カードが始まりました。記載の位置が通常の在留カードと異なるため、確認する欄を見直してください。
ステップ4の道具:国の無料の仕組みで偽造を見抜く
出入国在留管理庁は、在留カードのICチップを読み取る無料のアプリを配っています。カード番号が失効していないかを調べる照会ページもあります。読み取った情報が券面と違う、読み取れない、番号が失効している場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署に相談してください。
外国人採用の注意点|よくある失敗は3つ
外国人採用でつまずく会社の多くは、同じ3つの失敗をしています。どれも事前に知っていれば防げます。
失敗1:在留カードを見ずに雇い、不法就労助長罪に問われる
不法就労(法律で認められていない就労)には3つの型があります。在留期限が切れた人が働く、観光目的の短期滞在や許可のない留学生が働く、そして認められた範囲を超えて働く、の3つです。例えば、外国料理のコックとして認められた方を工場の単純作業に就けると、3つ目に当たります。
不法就労をさせた会社は、不法就労助長罪として3年以下の拘禁刑(刑務所に入る刑)または300万円以下の罰金の対象です。両方を科されることもあります。この罰則は2027年4月1日から、5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に引き上げられます。
注意
「知らなかった」は通用しません。本人が不法就労者だと知らなくても、在留カードを確認していないなどの過失があれば処罰されます。出入国在留管理庁がそう明記しています。
失敗2:留学生のアルバイトで週28時間を超えさせる
留学生や家族滞在の方は、資格外活動許可を受けると、1週について28時間以内で働けます。留学生は、在籍する学校が学則で定める長期休業期間に限り1日8時間以内まで働けます(家族滞在の方にはこの扱いはなく、休業期間中も週28時間以内です)。風俗営業での就労は認められません。
注意
週28時間は、ほかのアルバイト先の時間も合わせた合計です。採用のときに、ほかで働いている時間を本人に確かめ、シフトを組んでください。
失敗3:ハローワークへの届出を忘れる
外国人を雇い入れたときと離職したときは、ハローワークへ外国人雇用状況の届出が必要です。怠ったり虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。出入国在留管理庁への届出は不要です。
| 雇う人 | 使う書類 | 雇入れの期限 | 離職の期限 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険に入る人 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)・資格喪失届(様式第4号) | 雇い入れた日の翌月10日まで | 退職した日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険に入らない人(短時間のアルバイトなど) | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) | 翌月末日まで | 翌月末日まで |
届け出る事項は、氏名・在留資格・在留期間・生年月日・性別・国籍・地域です。資格外活動許可の有無と、在留カード番号(12桁)も書きます。氏名は通称ではなく、在留カードどおりの本名を書きます。
外国人採用の後に守る決まり|労働法は日本人と同じ
採用が決まったあとは、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・健康保険法などの法律が、国籍を問わずそのまま適用されます。国籍を理由に賃金や労働時間で差をつけることは禁止です。
厚生労働省は、外国人を雇う会社が守ることと努めることをまとめた指針を定めています。採用の入口から退職までの決まりが書かれています。外国人であることだけを理由に応募を断ることも、適切ではないとしています。
定着の基本:労働条件は母国語でも説明する
賃金や労働時間などの主な労働条件は、書面で明示する義務があります。そのうえで、母国語など本人が理解できる方法で示すよう努めることが指針に書かれています。国外から呼ぶ場合は、渡航費や帰国費用の負担、住まいの用意の有無を募集の時点で明確にします。
辞めさせるとき:安易な解雇は認められない
労働契約法により、解雇や雇止め(期間の決まった契約を更新せずに終えること)が認められない場合があります。やむを得ず解雇する場合は、在留資格に応じた再就職ができるよう援助に努めます。業務上のけがの療養中や、妊娠・出産を理由とした解雇は禁止です。
人材のあっせんを受けるとき:許可か届出のある事業者から
人材のあっせんを受けるときは、職業安定法に基づく許可か届出のある職業紹介事業者から受けます。本人から違約金や保証金を取る契約を結ぶ業者や、そうした取次機関を使う業者は利用しないよう、指針で求められています。
外国人採用の制度の変わり目|2027年4月に2つ変わる
外国人の採用に関わる制度は、いま大きく動いています。会社が知っておくべき変更は3つで、うち2つは2027年4月1日に施行されます。
| 時期 | 変わること | 会社への影響 |
|---|---|---|
| 2026年6月14日から | 特定在留カードの運用開始 | 記載位置が通常の在留カードと異なる。確認する欄を見直す |
| 2027年4月1日から | 技能実習に替わり、育成就労制度が始まる | これから現場の人材を受け入れるなら、育成就労の要件を確認する |
| 2027年4月1日から | 不法就労助長罪の罰則が5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に | 在留カードの確認を社内の手順に組み込む |
育成就労とは:人手不足分野で人材を育てて確保する制度
技能実習は、技能を母国へ持ち帰る国際貢献が目的でした。育成就労は、人手不足の分野で人材を育てて確保することが目的の制度です。本人の意向による転籍(勤め先の変更)が認められます。現場職で外国人を採用したい会社は、この制度の要件を前提に計画を立ててください。
よくある質問
日本人と結婚している外国人の方は、どんな仕事でも頼めますか
はい。「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」などの身分に基づく在留資格は、仕事の種類に制限がありません。在留カードの表面には「就労制限なし」と書かれています。ただし、雇入れと離職のハローワークへの届出は必要です。
短時間のアルバイトでも届出は必要ですか
必要です。雇用保険に入らない短時間の方も、特別永住者と外交・公用の方以外はすべて届出の対象です。外国人雇用状況届出書(様式第3号)を、雇い入れた月の翌月末日までにハローワークへ出します。
留学生を卒業後にそのまま正社員として雇えますか
留学の在留資格のままでは、正社員として働けません。仕事の内容に合う働くための在留資格へ変更する許可を、本人が出入国在留管理庁から受ける必要があります。卒業までのアルバイトは、資格外活動許可の範囲である週28時間以内に収めてください。
まとめ
外国人採用で最初に確かめるのは、本人の在留資格です。面接で在留カードの原本を見て、表面の「就労制限の有無」と裏面の「資格外活動許可」、在留期間の満了日を確認します。任せる仕事が資格の範囲に入っていれば、雇うことができます。
雇い入れたら、ハローワークへの届出を期限内に行います。雇用保険に入る人は翌月10日まで、入らない人は翌月末日までです。給料や社会保険は日本人と同じ法律が適用され、労働条件は母国語でも説明するよう努めます。
2027年4月1日には、育成就労制度の開始と、不法就労助長罪の罰則引き上げが同時に来ます。在留カードの確認と届出を社内の手順として固めておけば、制度が変わっても慌てずに採用を続けられます。
この記事のまとめ
- 雇えるかは在留カードの「就労制限の有無」と裏面の許可欄で見分ける
- 雇入れ・離職はハローワークへ届け出る。期限は翌月10日か翌月末日
- 2027年4月1日から育成就労が始まり、不法就労の罰則も引き上げられる
出典・参考にした公的資料
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html
- https://www.mhlw.go.jp/content/001261965.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/qaq5.html
- https://www.moj.go.jp/isa/content/930004269.pdf
- https://www.moj.go.jp/isa/content/001469155.pdf
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/whatzairyu_00001.html
制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。